科学未来タイムズ

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第12回 ポケモンで脳が変化!?

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 ポケットモンスター、縮めてポケモン。この日本が誇る大人気ゲームをご存じない人はいないだろう。1996年に発売されて以来世界中で大ヒットし、今もなお新作が発売されその人気は色あせない。幼少期には、友達とのポケモンバトルや、交換、色違い探しに明け暮れた人もいるはず。

そんな素晴らしい思い出を変えたくないという人はここから先は見ない方がいいかもしれない。

 今回は少し怖い話になるが、幼少期にポケモンをした人の脳が変化しているという話だ。

 「子供の頃に熱心にポケモンをプレイした人たちは、数百種のポケモンを区別することに長けた独自の脳領域を発達させている。」という論文が、2019年5月に学術誌『Nature Human Behavior』に掲載された。カルフォルニア大学の博士研究員、ジェシー・ゴメスは

幼少期にポケモンマスターだった11人と、ポケモンをプレイしたことのない11人を集め、実験を行った。参加者たちに、fMRIのなかで人の顔、動物、漫画、身体、単語、クルマ、通路、ポケモンの画像を掲示し、脳の反応を調べるという実験だった。実験の結果は、ポケモンプレイヤーはポケモンのキャラクターに対して対照群よりも強い反応を示したという。データを分析したところ、ポケモンプレイヤーたちは、脳の同じ場所にキャラクターを識別することに特化した新たな部位を持っていたとのこと。

この実験の結果から、脳はこれまで考えられていた以上に特定の対象物に特化した脳領域を発達させていることが発見された。幼少期に子供にとって独特の視覚刺激に接した経験が脳領域を発達させるのだ。論文を発表したゴメスさんがいうには、「わたしたちを制約するのは脳そのものではなく、子ども時代にどれだけ多くの経験をできるかである。」とのこと。我々の脳は新たな経験、特に幼少期の経験に対応して変化・適応できるように設計されているというのだ。

読者の皆さんは、幼い頃ポケモンで遊んだことに後悔しているだろうが安心してほしい。それなりに時間を費やしたものであれば、何であっても脳に影響を与えるそうだ。それに、今回の実験に参加したポケモンマスターたちのほとんどは、博士号をもっていたり、グーグルなどの大企業で働いたりしていたとのこと。したがって、ポケモンによる脳への悪影響はおそらくないだろう。

 

著:嶋貫

 

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  • 発売日: 2019/11/14
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