科学未来タイムズ

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第三回 乳がん検査にスピード革命

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令和元年の厚生労働省の統計によると、日本人の死因で最も多いのは男女ともにがんである。約30%の日本人ががんで命を落としている。現代日本で最も恐ろしい病気と言っても過言ではない。今回紹介する研究はその中でも特に乳がんにスポットを当てた研究である。

国立がん研究センターが発表している2020年のがん罹患者数予測では、女性の全がん合計罹患者数が429,900人で、そのうち乳がんが92,300人と最も多い。

しかし、がんは早期発見し、早期治療を施せば治る確率が非常に高い。治療自体も早く開始すればするほど軽いもので済み、時間も要さないため、身体的負担、経済的負担を抑えることができる。一刻も早いがんの発見のため、皆様にはぜひ定期的なげん検診を推奨したい。

さて、今回紹介する研究は、乳がんの早期発見に新たな光明をもたらすものである。

10月22日、大阪大学レーザー科学研究所の芹田和則特任助教をリーダーとする研究チームは、0.5ミリ未満の早期乳がんを、0.1~10テラヘルツの電磁波(テラヘルツ波)で可視化することに初めて成功したという研究成果を「jourbal of  Physics:Photonics」に掲載した。

これまでの乳がん検査というのは、まず触診やマンモグラフィ検査等を行い、異常が見られた場合、病変部の組織・細胞を染色してがんかどうかを判断する(病理診断)。この染色をする過程というのはとても時間がかかり、がんが進行してしまうのもそうだが、検査を待つ患者にとっては想像を絶する精神的苦痛をもたらす。自分ががんかどうか宣告されるのをひたすら待つのは気が気でないだろう。

光と電波の中間に位置するこのテラヘルツ波は、そんな悩める女性を救うヒーローになるだろう。

テラヘルツ波による診断は染色を必要とせず、シンプルに早い。

加えて、病理診断では識別することが難しい、進行前の初期の小さな乳がんも識別することができる。

さらに、AIとの相性も良く、活用すれば医師の負担を減らすことにもつながる。

現在は乳がんでのみのテラヘルツ波診断だが、もちろんすべてのがんへの応用が期待されており、近い将来、そのスピードは多くの『Body&Soul』を救うことになるだろう。

著:近藤

 

Body&Soul

Body&Soul

  • アーティスト:SPEED
  • 発売日: 1996/08/05
  • メディア: CD