科学未来タイムズ

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第四回 世界初 幼体ティラノサウルスの化石を発見

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恐竜の中でも飛び切り人気の高いティラノサウルス。その怪物のような巨体と獰猛さで、ジュラシックパークでは最強の恐竜として君臨していた。そんなキングオブ恐竜ティラノサウルスの幼体が、つい最近世界で初めて発見されたことをご存じだろうか。2020年10月中旬、オンラインで開催された古脊椎動物学会の年次総会にて、英エディンバラ大学の古生物学者グレゴリー・ファストン氏は、発掘された幼体の化石をティラノサウルス類のものと特定した。これは、幼体のティラノサウルス類が発見された世界初の事例である。これまで見つかってきたティラノサウルスの化石は大人か若いもので、赤ちゃんの頃の化石は発見されておらず、実際に赤ちゃんがどんな大きさでどんな形をしているのか分からずにいた。

今回の発見では赤ちゃんの足の爪と下あごにあたる二つの化石が発見され、どちらもまだ胚の段階であり、卵の殻に守られていた羽化前の状態と思われる。足の爪は体長約75cmの個体の、あごの骨は体長約90cmの個体のものと推測されている。

また、今回の発見から、生まれたばかりのティラノサウルスの体長は成体の10分の1、およそ1mほどの大きさと判明した。赤ちゃんで1mと聞くと大きく感じるが、成長すれば十数メートル、体重は数トンにもなると考えると可愛らしいサイズである。下あごには小さい歯がついていたことから、生後間もないころは小さい虫、トカゲなどの爬虫類を食べて生活していたのではないかと推測されている。

これまで、なぜティラノサウルスの赤ちゃんの化石が見つからないのか謎に包まれていたが、今回の発見はそんな謎を解くきっかけになっただろう。

 著:嶋貫

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